@choku1stの雑記

「人生」とかいうソシャゲを攻略していこう

留年4回したとある大学生の話【第7話】勤労学生の苦悩

 

 

【5年前期】

 

 

 

「あれ?!チョクさんじゃないすか!?留年してたんすか!笑」

 

 

バスケサークルの後輩に声を掛けられた。

 

 

「実はそうなの(照)」

 

 

私は大学5年生になっていた。

同期はいなくなり、大学での顔見知りが激減した。

後輩しかいない環境になることは若干の恐怖があったが、

それでも大学やサークルへ足を運ぶことができたのは、

人格がよくできた後輩の存在が大きかったと改めて思う。

 

「また一緒にバスケできますね!今年もよろしくお願いします」

 

という言葉に、嬉しすぎて涙が出そうになった。

 ガチで嬉しかった。

 

 

低身長で童顔だったこともあり、

サークルでは自分が1年生に扮して活動し、実は5年生でしたというドッキリが実行され、激減したはずの顔見知りはすぐさま増えた。

大学側に登録されている情報は4年生のままだったが、

サークルメンバーへのウケが思いのほか良かったこと、

そして自分が今何回留年しているのか忘れないようにするために

5年生を自称することにした。

 

 

大学5年生にもなると

「あいつ留年してるんだってよ~クスクス~w」

という態度を取られ、

冷ややかな視線にさらされ、

後輩から距離を取られ、

この間まで敬語で接してくれていた後輩がため口になることを想像していたが、

それらはなかったため安堵した。

 

 

 

 

 

 

しかしある問題が生じたために、自分の心は全く穏やかではなかった。

 

金銭面である

 

最低限のお金を手にしたら、あとは好きなことをやって暮らそう!

お金が全てじゃない!

というマインドだった私は、超のつく倹約家で、

浪費癖もなくタバコも吸わなかったので、

”最低限のお金”の水準が一般の人間よりも更に低い人種だったのだ。

 

 

ならば何故、金銭的な問題を抱えなくてはいけなくなったのか。

それは母親である。

 

 

実は実家に帰省(※5話参照)した際に違和感があったのだ。

なんか昔と部屋の間取りが違うな、

なんかモノ増えてるな

 

そう、奨学金は母親の手によって使い込まれていた。

最悪である。

 

 

私は激怒した

 

 

自分も完全に盲点だったのが、奨学金が振り込まれる口座は、

自分が未成年だった時に母親が作ったもので、

まとまったお金が必要になったとき以外は利用しない、

言わば緊急時用の家族共用の口座だったのだ。

 

母親の言い分としては、新たに生まれた赤ん坊の養育費は

「短期的に発生する大きいお金なので自分の口座に送金した」

赤ん坊の誕生は緊急事態

 

とのこと。

 

 

 

いや部屋の間取り変わってたし!

明らかにリフォームしたよな!?

 

 

「赤ん坊の部屋必要になるから」

 

 

 

いやそれ小学生になったらでよくない!?

 

 

 

理屈ではなく感情で動く生き物のようで、

こちらの言うことに耳を貸す気配がない。

 

長いこと言い合いが続いた。

 

最終的には

「4年間も留年するなんて親不孝!そんなことのために奨学金があるのではない!」

 

と、要約するとそんな内容の罵声を

色々浴びせられたあたりで言い返すのをやめた。

 

 

そう、留年は”悪いこと”であると考える自分が、

確かにそんな気もすると感じて、気持ちが折れたのだ。

 

とはいえ、

学業を奨励するお金を家のことに使うのはどうなんだ、

という怒りが完全に収まったわけではなく、

 

「てめーとは縁切るわボケ!」

 

と言い放ってスマホを放り投げ、

1時間弱の口論は終了した。

 

体罰、罵倒、なんでもありの母親に

どんな理不尽なことをされても堪えて育ってきた自分が

 

親を”てめー”呼ばわりしたのは生まれて初めてのことだった。

 

お金の恨みは人を根本から変えるのだ。

 

 

ちなみに絶縁してはいないので安心してほしい。

ただ、この事件をきっかけに

 

 

「母さん」と呼んでいた母親のことを

「あなた」と呼ぶようになり

兄弟との会話の中で、母親を指す三人称が

「母さん」から

「母親」になった

 

母さん今日何時に帰ってくるの?

→母親は何時に帰ってくるの?

 

 

子供ができたら、こんな金銭トラブルは絶対に起こしたくないという

反面教師の鑑である。

※親ディスりブログではない

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、

大学生を続けるには大量の資金が必要になった。

 

奨学金を学費にあてつつ、

週2でバイトしてダラダラと生活。

そのうち卒業してフリーター生活。

 

…という計画が完全に白紙になってしまった。

 

学費と生活費をどちらもバイトだけで稼ぎながら大学に通う、

というのはかなりハードルが高かった。

というか、全日制の大学生ではほぼ不可能だろう。

 

休学すればいいのでは?

と、思う方もいるかもしれないが、

大学生なら必ず通過する

 

「ラボ」「ゼミ」「研究室」

 

こいつを倒すのに必要な時間と、

 

「開講年度と時限の被った必修科目」

 

こいつを倒すのに必要な時間を考慮すると、

卒業するためには休学はできなかった。

 

しかもこれらの科目、

省エネ戦法で単位を取ってきた自分にとって、

最難関である「出席」が必須であることが逆風となり、

一気に身動きがとりにくくなった。

 

 

 

 

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【錯乱編①】

 

 

私はとりあえずバイトを増やした。

車を持っていなかったので、

自分の足で行けそうなバイトを探し、

時には車持ちの後輩を誘って距離のある単発バイトにも赴いた。

内職にも挑戦したがコスパが悪すぎてやめた。

 

 

この時期は本当にきつかった。

 

寮のようにいつでも大学と自分の家とを移動できる環境ではなく、

電車による時間拘束も生じたため、

バイトの日程を効率よく組むことができず、

口座の残高が思うように増えないこと、

そして学費の納期が近づくことで、

ガチで胃袋に穴が開きそうだった。

 

納期に追われた結果、

保険で多めに取っていた卒業には不要な単位は切り捨て、

時間をバイトに充てるようになる。

 

もはや学生ではなく、

ほぼフリーターと言って差し支えないスケジュールだった。

 

ストレス要因は他にもあった

サークル問題児に振り回されたり、

大会の日程ともにらめっこしながらポケモンを育成したり、

古戦場走らなきゃいけなかったり…

 

 

いやいやゲームやめればええやん

 

至極もっともなツッコミだが、

追い詰められた人間はそんなことを考える余裕はない。

人に迷惑を掛けてはいけない

 

その一心を胸に、あらゆる活動に対して時間を割き、

あらゆる事象に全力を尽くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【錯乱編②】

 

 

大学5年目の夏休みになった

 

自分はひどく落ち込みながらバイトに勤しんでいた

というのも、

前期に履修した科目の試験を全て寝過ごしてしまったからである。

 

これまでアラームに気付いたが二度寝

というパターンはあったが、

アラームに完全に気付かない寝坊を、

数日間連続でやらかしてしまうのは初めての経験だった。

更には、午前中に寝坊してしまったが昼間には目覚め、

午後の試験は出れるという日も、

なぜか気が付くと眠っていて起きると夕方になっている日もあった。

 

 

 

ショックだった。

どうして試験日に起きれなかったのだろう。

 

 

そんな後悔の念を抱きつつ、夏休み中盤に差し掛かる。

このあたりから生活が悪い方向に変化した

 

 

暇さえあれば眠るようになってしまったのだ。

 

 

三度の飯よりもゲームが大好きだったはずなのに、

暇な時間にゲームをしない。

 

時々

眠くないな、モチベーションあるから周回しよう!

といった日が訪れてやり込む日もあるが、

基本的には欲求の優先度が娯楽よりも睡眠に傾いていった。

 

 

また、今日は19時からバスケだな!行こう!と決意した日も

日中に眠ってしまい、

気が付いたら21時になっていた、

なんてことも増えていった。

 

 

 

次第に

 

サークルの時間、

ゲームでの通話の待ち合わせ、

果ては友達との待ち合わせにすらも起きられなくなり、

 

「ごめん寝落ちしてた」

 

というメッセージを送信する機会が増えていった。

 

 

 

 

 

何が「ごめん寝落ちしてた」だよ...

 

 

と、私は深く自分を責めた。

 

オンラインの待ち合わせであろうとも、

そこには自分のために時間を作って待っていてくれる”人”がいるのだ。

 

「ネット上の相手も、人であることに違いはない」

「ネットもリアルも、そこには何の違いもない」

 

オタク文化に長いこと触れていた自分は、

そのことを人一倍理解していた。

その上、体育会系の部活やサークルで過ごしてきた身でもあったため、

”人との約束の時間を守れない”自分に激しい苛立ちを覚えた。

 

 

 

※大学の講義開始の時間は守らなくてええんか?というツッコミはナシでたのむ

 

 

 

 

そして、夏休みが終わるころには

バイトに出勤する時間にすら起きれなくなってしまっていた。

 

 

なんて根性のない人間なんだろう、

もう一度心を1から鍛え直さねば。

 

 

 

 

 

そうして、可能な限り毎日ウェイトトレーニングをした。

健全な精神は健康な肉体に宿ると言うしな

 

己の限界を超える!!

 

その一心でベンチプレスを、

普段より重い重量で、より多くのセット数でこなしていった。

 

成果は筋肉になって表れ、

ひと月もすると明らかに自分の大胸筋は肥大していた。

 

成果が目に見えることは自信につながり、

さらに強度を上げていった。

 

 

 

やはり筋トレは気持ちがいい。

 

終わった後の疲労感と達成感は心地よく、

水道水がとてもうまい。

 

 

そしてプロテインがうまい。

極限まで節約していたため、

脱脂粉乳のような味の激安プロテインだったが、

追い込みを激しくしたせいか、うまい。

 

 

さらにはごはんがうまい。

ネットで手に入れた激安の古古古米だったが、うまい。

 

実家では会津コシヒカリというかなり高価な白米を食べて育ったのでコメの味にはうるさいと自負していたが、全然いけるじゃないかとむしゃむしゃ食べた。

 

 

うまい。うまい。

 

 

 

 

 

 

 

うまい。

 

 

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つづく

 

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