@choku1stの雑記

やりたくないことをやってる余裕は人生にない

留年4回したとある大学生の話【第8話】はじめてのカウンセリング

 

 

 

【5年後期】

 

 

 

 

 

大学5年生の後期、

私は早々にとても落ち込んでいた。

 

フル出席が必要な科目を、

1日目に落胆確定させてしまったのだ。

寝坊である。

 

 

精神を鍛えるべく励んでいた筋トレが、

寝坊対策効果を発揮できなかったのである。

 

筋肉だけが大きくなり、

積み上げた自信が喪失していった。

 

 

 

 

運よく、後期始まって最初のバスケサークルの活動に顔を出すことができたので、

約半年ぶりのバスケをした。

 

バスケットボールってこんなに軽かったっけか。

筋トレの影響で、バスケットボールの重さは

体感バレーボールくらいになっていた。

久しぶりに放ったシュートは

豊玉戦の桜木花道さながらに、

ボードの向こう側へ落下した。

シュートに関しては、

すっかり初心者クラスになってしまっていた。

 

 

かなしくなった

 

 

 

必死にブランクを取り戻そうとシュートを打ち込んでいると、

後輩たちのとある会話を耳にする。

 

「○○が3年ぶりに大学戻ってきたんだってな」

パニック障害だったらしいよ」

「なにパニック障害って」

「なんか精神的な病気で、人前にでられなくなっちゃうらしい」

「それで大学来れなくなってたのね」

 

はえー、そんな病気があるのか

 

 

最初は聞き流していたが、

次第にその生徒がどのように大学に来なくなったかの経緯が、

徐々に生々しくなり、

どこか他人事のように思えない内容になっていった。

 

心当たりがありすぎたのである。

 

 

会話が終わって試合が始まるまで、

その話の輪に合流し、

ビンビンに聞く耳を立てていた。

 

 

 

活動が終わって帰宅しても、なかなか寝付けなかった。

 

 

会話の内容が頭をぐるぐるして、

カウンセリングに行ってみようかなという気になっていた。

しかし、自分が精神病を患っているなんて認めたくはなかった。

第一、通院するためのお金なんてない。

根性で乗り切らんか

 

 

絶対に寝坊すまいとその日は徹夜して大学に行ったが、

謎の睡眠欲は数日たつとまた発生してしまった。

 

 

はやくこの現状を打破したい。

 

そんな思いからついに、

大学で実施している無料のカウンセリングを受けることを決意する。

 

 

もはや手段を選んでいる余裕はなく、

藁にも縋る思いだった。

 

とりあえず受けるだけ受けてみよう、

病気ではなくただの怠惰な大学生、

そんな診断結果をもらえば前に進めるかもしれない。

行くぞ行くぞ行くぞ。

 

 

 

 

 

 

「――――――当診療科は、完全予約制です」

 

 

 

 

 

 

 

 

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【予約編】

 

 

 

 

 

カウンセリングを受けることのハードルは想像以上に高かった。

 

 

 

 

その扉を叩くための精神的なハードルも高かったが、

物理的にはもっと高かった。

 

 

 

予約は何日も、

よく見るとその次の月の月末までびっしり埋まっており、

奇跡的に空いていたのは1か月後の限定された45分だけだった。

 

 

恐ろしい。

 

心を病んだ大学生ってこんなにいっぱいいるのか???

 

 

そういえば寮にいた頃も、

同じフロアの人間が自◯未遂してたっけ…

 

 

 

知りたくもない事実だったし、

そんな人たちの仲間入りをしてしまうのかと、

来たことを死ぬほど後悔した。

 

 

 

「どうしますか?予約入れますか?」

 

 

少し断りたかった。

しかし現状を打破したいと願う自分も、

その断りたい欲望につばぜり合いをする。

 

 

「ちなみに次開いてる日は...3か月後です」

 

ワイ「予約入れます」

 

 

 

嘘やろ…???

カウンセリングの予約って3か月も埋まるもんなの???

 

有名外科医の手術かよ

 

 

もしかしてこの大学の先生、超の付く名医なのかな

 

 

悩みが解決できるかもしれない僅かな可能性、

それが1か月後に手に入る、

 

更にその次のチャンスが3か月後だと?

 

”カウンセリングの予約が取れるチャンス”

それ自体の希少性を理解した瞬間、即決していた。

 

 

 

大学の闇を垣間見た気がした。

 

1つの大学につき10人くらいは精神科医を配属すべきではないかと本気でそう思った。

 

 

自分は死にたいと思うほど思いつめたことはなかったが、

仮にそこまで追い込まれた大学生がいたとしたら…

 

初診を受ける前にこの世からいなくなるのでは?

 

 

なんて想像をしたらますます恐ろしくなってきたのでやめた。

 

 

 

 

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【初診】

 

 

 

1か月が経過した

 

平日は相変わらず朝起きることができず、

途中からどうせ起きれないならと大学に行くのを諦めていた。

気乗りしなかったためサークルにも顔を出さなかった。

 

生命線である資金源を断っては命にかかわると、

週末のバイトは寝坊回避のため徹夜して向かった。

辛いカップ麺、コーヒー、ブラックガムなど

あらゆる眠気覚ましアイテムを駆使して眠気と格闘する。

休憩時間に睡眠を取ることができるため、

出勤時刻に間に合えば勝ちの精神である。

 

 

 

そんな生活を続けていたもんだから、

なんとか報われたいという思いで初診が待ち遠しかった。

 

ちなみに初診当日も眠気覚ましの三種の神器を用いて寝坊を回避しており、

体調は絶不調の頂点だった。

 

 

 

 

コンニチハ~、予約したチョクです~。

 

 

 

尋ねるとすぐに、

受付でアンケート用紙と体温計を渡された。

 

どうやら最初の15分で体温を測りつつ、

このアンケートに回答して、

その結果をもとに診察するというシステムのようだ。

 

 

 

 

体温計をわきに挟み、

私はアンケートに回答していった。

 

3問くらい答えたところで、

アンケート用紙の全体を眺めて笑ってしまった。

 

 

 

「死にたいと思い詰めることがよくあるか」

自傷行為をすることがよくあるか」

「物を食べても味があまりしないか」

「体がだるく疲れやすいか」

 

 

 

いやいや

これ「はい」って答えるほど

病気ポイント加算されるやつですやんw

 

 

 

ここで予約を断りたがっていた時の自分、

病弱認定されたくないという謎のプライドをもつ自分が出てきて、

 

5.強くあてはまる

4.ややあてはまる

3.わからない

2.あまりあてはまらない

1.全くあてはまらない

 

のような5段階くらいのチェックだったと記憶しているが、

極力1もしくは2に丸を付け続けた

 

お前はなにをやっているんだ

 

 

 

 

アンケートへの回答が終わり、

しばらくすると診察室へ入る許可が出た。

 

 

男の先生だった

 

 

「えーチョクさん、まずは勇気を出してここに来てくれてありがとうございます」

 

 

 

なんか涙が出てしまった。

 

その一言で全身の緊張が完全に解かれ、

ついでに涙腺の緊張も解かれてしまったらしい。

アンケートに不誠実な回答をするという

直前の行動に対する罪悪感もあった。

 

 

スイマセン…と言ってティッシュをいただき、

 

 

 

 

 

 

カウンセリングでは色々なことを聞かれたが、

 

 

アンケート用紙の誘導(?)に意地を張っていた、

ヘンなプライドを持った自分を捨てて、

とにかく質問に正直に答えようと思った。

 

 

また、自分が置かれている金銭的に追い詰められている状況、

やたら寝起きが悪くなってしまった時期や、

その経緯などはかなり細かく伝えた。

 

 

 

 

 

 

カウンセリング終了

 

 

 

 

すっきりした。

 

3か月ぶんのう○こを全部出すぐらいすっきりした。

 

 

しかし先生は頭を悩ませているようだった。

 

 

 

 

「お話は分かりました。

 ただ、私ではなんとも判断しがたいです。

 睡眠導入剤を渡すので、

 とりあえず3日間は様子を見ましょう。

 異変がおこったり、不安を感じたらこちらに電話を。

 そして3日後のこの時間、診療所に来てくださってかまいません。」

 

 

そう言われてとりあえず睡眠薬を渡された。

 

 

診療所には、もう次の悩める大学生が来ているようで

自分も居座るのはまずいと思い、その場を去ることにした。

 

 

アッ、スケジュール埋まってても無理やりねじ込むとかできるんすね

 

 

 

結局病気なのか、そうではないのかは結局わからず終いだったが

睡眠薬なるアイテムを入手したことで、

物事が一歩前進進んだようなきがして嬉しくなったのだ。

 

 

薬をもらっただけでやたらテンションがあがった。

 

 

 

 

その夜、

人生初の睡眠薬だった。

服用の危険性については重々言い聞かされたので、

身辺に危険物無し!

戸締りヨシ!

服装ヨシ!

とチェックをしながら服用して布団に入った。

 

 

体感では、目を閉じた瞬間朝になったようだった

 

中学時代からの習慣で、

いつもは布団に入ってしばらくは、

1日の出来事を頭の中で復習して寝落ちするのを待つようにしていたのだが

そんな暇もなく、

目を閉じて明けると7時間スキップされていた。

アラームが鳴る前に目が覚めてガッツポーズをした

 

 

うおおおおおおおおおおおおおお!!

 

 

俺は病気じゃねええええええええ!(確信)

 

 

勝ちを確信した。

勝ち確演出だった。

 

これでかつての生活に戻れる!

カウンセリング受けて本当に良かった!

 

睡眠薬様様じゃないか、神のアイテムだよこれは。

 

 

 

テンションが上がりすぎて、

嬉しすぎて、

その日は講義があったが自主休校とし、

1日中ゲームをやり込んだ。

 

寝ざめすっきり、

日中も眠くならないだけでやたら嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

その翌朝

カウンセリングから2日後の朝に電話がかかってくる

 

「チョクさん、明日、診療所に来てください」

 

 

 

”来てもかまいません”と言っていたのに”来てください”とは、

あっ、途中経過のチェックと睡眠薬の補充かな?^^

 

「はい!わかりました!^^」

 

声高に了承し、翌日ウキウキで診療所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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【診察2回目】

 

 

 

 

「チョクさん、来てくれてありがとうございます。

 よく眠れましたか?」

 

 

ワイ「はい!!睡眠薬めっちゃ効きました!!^^」

 

 

先生ありがとう、

おかげさまで楽しい日常を取り戻せたよ!

テンションが上がりすぎて

前回の10倍くらいの声のボリュームでしゃべっていた気がする。

 

 

 

しかし

 

「落ち着いて聞いてください。

 実は、チョクさんは少なくとも軽度のうつ状態

 最悪は重度のうつ病、もしくは別の病気の可能性があるということを

 伝えるためにお呼びしました」

 

 

 

 

ワイ「…え」

 

衝撃の事実に声のボリュームは十分の一になってしまう。

 

 

 

先生は続ける

 

「話を聞く限り、ところどころ”うつ”症状はあるのに、

 体を動かしたりできているし、アンケート結果も良好。

 かなり珍しいケースだと思っていたのですが

 会話の中でクズ大学生を自称されていましたが、

 その自覚をし、深層心理では気に病み、

 金銭的な負担を家族にかけさせないという、

 根はかなり真面目なタイプの人間です。

 それでいて自分を奮い立たせるための激しい筋トレ、

 こちらはチョクさんの場合、一種の自傷行為に該当する可能性があります。

 さらには安い白米やプロテイン本当に美味しかったですか?

 云々...」

 

 

自分は全ての質問に「その通りですね…」

 

と小声で答えることしかできなかった

 

精神科ってすげぇ

(後から知ったがこの先生は心療内科だったらしい)

 

 

先生は続ける

 

「しかしうつ病というのは眠れなかったり、

 食欲が出ず食べ物がのどを通らなかったりはするのですが、

 チョクさんの症状はうつ病のものと、

 完全には一致しません。そのため、

 もしかしたら何ともなかったという場合もあります。

 しかしこの睡眠障害は、

 明らかに精神的な部分が原因なので、

 根本を解決しない限り、改善は難しいことは断言できるかと…」

 

 

 

実際は二重、三重のオブラートに包み、

かなり気を遣って事態を説明してくれていた。

 

 

 

ワイ「わかりました。」

 

 

 

 

診療所をあとにし、

事態を全て飲み込み、

帰宅してからは今後の生活をどうしていくか考えていた。

 

 

研究室とこの単位が残ってて…

 

学費がこれくらい必要で…

 

月当たりの生活費がこれくらいで…

 

病院にかかるお金がいくらで…

 

 

 

 

大学に向かう元気は出ず、ほぼ全休した。

 

厳しい現状から逃げるようにゲームをし、

ニコニコ動画Twitterを立ち上げ、

ポケモンを起動し、

wikipediaを眺めてネット上を飛び回る

いつもの廃人スタイルで時間を潰す。

 

 

民間の精神科の受診を勧められたものの、

何か月も先まで予約が埋まっており、

そもそも徒歩圏内にそういった病院がなかった。

受診するためのお金もない。

 

 

マウスとキーボードを脳死で動かし

グラブルを周回しつつアニメを見る

 

時々Twitterをいじっては

 

面白そうな動画を探し、

 

wikipediaを眺める無限ループ

 

睡眠薬は結構な量支給されていたのでゲームが捗った。

 

ニコニコ動画で配信もした。

 

バイトにもしっかり起きれたし、

バイト自体は面白みをなくしていたが、

職場の人間との会話は楽しく、

1日も休むことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして充実した準引きニート生活を送っていくうちに

雪が降り、

2月に差し掛かった頃、

 

 

wikipedia上でとある単語のページに飛ぶ

 

 

 

生活保護

 

 

 

 

ごくり…

 

体にビビッと何か電流のようなものが走り

 

一筋の希望の光が

 

再び見えた気がした。

 

 

 

 

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つづく

 

9話→

留年4回したとある大学生の話【第9話】24歳、学生です。 - @choku1stの雑記

 

1話→

留年4回したとある大学生の話【第1話】意識高い系新入生 - @choku1stの雑記